複雑性PTSD
複雑性PTSDとは、幼い頃の心の傷が折り重なってできる精神疾患のことで、繰り返された虐待により、児童・青年期から成人に症状が現われます。
虐待以外には、拷問、奴隷、大量虐殺などがあげられます。
精神疾患では、うつ病や解離性障害として現われる場合があり、愛着の問題では、無秩序・無方向/未解決型と関係があるのではないかと考えられています。
複雑性PTSDの症状
侵入・再体験、回避、過覚醒、感情の調節困難、否定的自己概念、不安定な対人関係です。
侵入・再体験症状では、トラウマの記憶が恐怖心や無力感とともに、自分の意志とは無関係に日中にフラッシュバックされたり、悪夢として繰り返されたりします。
回避では、できごとそのものを思い出したり考えたりすることを避けようとしたり、そのできごとに関係する人やもの、状況や会話を回避したりします。
過覚醒では、気持ちが張り詰め、ドキドキしたり、わずかな物音にひどく驚いたり、怒りっぽくなったりします。
感情の調節困難では、感情をありのままに感じたりコントロールしたりすることが難しいです。満足感や幸福感などの肯定的なものは感じにくく、反対に過去に負った恐怖や悲しみ、怒りや恥辱、否定的なものはいつまでも持ち続け、エスカレートした行動に発展する場合があります。ストレス下では感情の麻痺から何も感じられなくなったり、解離症状が生じたりする場合があります。
否定的自己概念では、自分や相手、世界に対する捉え方が現実的ではなく否定的でゆがんだものとなりがちです。ありのままに受け止めることが難しいため、ものごとがすんなり進まないと「自分が悪い」と思ったり、周りの人を「信頼できない」と考えたりしがちです。
不安定な対人関係では、感情調節と自己概念の問題から影響を受けます。対人関係そのものを回避したり、いつもイライラしたり、信頼できる相手でも怒りをぶつけてしまったりしがちです。今、ここでの問題なのに過去の人間関係を引きずることがあります。不安定な対人関係は、自己否定感からマイナスの感情が生じ、それが相手に向けられてしまうと対人関係が悪化し悪循環することになります。