
アタッチメント形成と安心の基地
子どもは不安になると特定の誰か(おもに母親)にくっついて、安心感を得ようとする欲求や行動を行います。養育者がなぐさめると子どもはいやされます。このような交流が生後6ヶ月~3歳のあいだくり返されることでアッタチメントが形成されます。
不安になって養育者の所に行けば安心感が得られそれが当たり前で居場所となれば、安心の基地(安全基地)と呼ばれるようになります。安心の基地とは、子どもが安心感を持って外の世界を冒険できるための居場所のことです。
アタッチメントの問題とアタッチメント障害の違い
アタッチメントの問題とアタッチメント障害の違いはアッタチメント形成の有無にあります。前者にはアッタチメント形成があり後者にはありません。
アタッチメントの問題には以下に説明する四種のアッタチメントのいずれかが形成されています。それに対しアタッチメント障害はアッタチメントが形成できない環境で養育された精神疾患です。反応性アタッチメント症と脱抑制型対人交流症です。
これらの疾患は現在のわが国で診断されることは、ごく稀であると言えます。
アタッチメントパターン
アッタチメントはアタッチメントパターンと呼ばれる四種の類型があり、子どものものは安定型、回避型、アンビバレント型、無秩序・無方向型です。
アッタチメントの対象は成長に伴い、養育者から友だちや仲間、そして恋人から配偶者へと変化します。成人のアタッチメントパターンは自律型、軽視型、とらわれ型、未解決型となり、子どものものにそれぞれ対応します。
人生には貴重な人との出会い、トラウマや身近な人の喪失などを体験する場合があり、アタッチメントパターンは変化することがあります。そうでありながらも人生初期に形成されたアッタチメントはプロトタイプのものとして一定の一貫性を示しつつ、その人らしさをつくりあげていくと考えられています。
安定型/自律型
安定型の幼児は、不安になっても養育者(母親)の元に行けば慰められ安心できることが分かっています。安心感が得られると、養育者から離れ新しい環境での活動を再開しはじめます。
自律型では幼い頃の親子の関係性がベースとなり、相手との関係では気持ちを表現したり受け入れたり頼りにしたり頼りにされたりしながら、比較的安定した対人関係を築くことができます。
回避型/軽視型
回避型の幼児は不安伝えても、養育者(母親)は嫌がったり拒否したりして、幼児を遠ざけようとします。そのため幼児は訴えたり関心を示したりするより、養育者のそばにいることを優先するため、苦痛や欲求は限りなく感じていないものとしてふるまいます。
軽視型では人との関わりは淡泊になりがちで、自身のことを隠したり相手を避けたりしながらも一定の距離を維持することで、比較的安定した対人関係を保つことができます。
アンビバレント型/とらわれ型
アンビバレント型の幼児は不安を伝えても、養育者(母親)は子どもの理解が充分ではなく自分の欲求で一貫性のない対応を行うため、幼児は養育者(母親)が慰めようとしても、過度な表現で激しく泣いたりしがみついたり、ときにそっぽを向いたり叩いたりするような場合もあります。
とらわれ型では、自らの不安と相手への理解と信頼が充分でないことがあり、親密な感情を求める時には必要以上に強く伝えてしまう場合があり、人間関係は安定しにくいことがあります。
無秩序・無方向型/未解決型
無秩序・無方向型の幼児が、不安を伝えると養育者(母親)は対応が困難な時があり、養育者自身がおびえたり幼児をおびえさせたりするため、幼児は背を向けながら養育者に近づいたり止まったり、うつろな表情ですくんだり凍りついたりしてしまうことがあります。
未解決型では精神的に不安定な場合があり、相手との親しい関係を望む気持ちが生じても傷つけられる恐怖心が先立ち、自分から相手を信頼して近づくことが難しい場合があります。
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