独自の特徴
ここでは、感情のあつかいと三つ組と呼ばれる三つの能力を説明します。
感情のあつかい
感情の扱いには個人差があっても苦手です。自分の感情をつかむことや相手の感情を理解することがスムーズではありません。「好き・嫌い」のような分かりやすいものでは何の問題もありませんが、喜怒哀楽となると理解や表現に個人差が生じてきます。さらに細やかな感情の扱いになるにつれ困難さは増していきます。
三つの能力
三つの能力は互いに影響し合うため三つ組と呼ばれます。社会性、コミュニケーション、想像力です。
社会性の弱さの問題とは常識的でない言動をすることです。これは『暗黙のルールが分からない』ことに起因する場合があります。マナーやエチケットを言葉でていねいに説明すれば問題なくふるまえるため、暗黙のルールが分からないことは、あいまいな状況理解が難しいことに関係すると考えられます。
もう一つが感情の問題です。相手が困ったり迷惑を感じていても、それが明確でないと理解しにくい場合があります。常識的でない行動は、必要な遠慮ができなかったり、間違っても迷惑をかけても謝らなかったりするふるまいとして表現される場合があります。
コミュニケーションの問題とは、まわりの人への興味や関心の弱さ、表情の変化や声の抑揚の意味が掴みにくいことがベースとなり、何かを思いつくと言葉にしてしまうことから『会話が一方通行』になることです。さらにコミュニケーションをしているのに、気持ちが通じなかったり、冗談や比喩、皮肉が分からなかったりする特徴としてあらわれる場合があります。
想像力の問題とは心の中でものごとを思い浮かべる能力の弱さのことです。心の中の世界は広がりと豊かさが狭められます。そのため限られた同じことを繰り返しがちとなります。このことが何らかのこだわりのある特徴につながります。こだわりがあるため、ルールの変更や突然のスケジュール中止や延期がすんなりと受け入れられません。
子どもでは、この想像力の弱さから『ごっご遊びが苦手』となります。
過集中の問題があります。このこだわりから生じていると考えられています。過集中は自覚的に用いられるとハイパフォーマンスが創り出せる優れた特性となります。
感覚の問題があり感覚過敏と呼ばれます。これは五感のうちの単数まれに複数が過敏であったり鈍麻であったりすることです。その度合いは個人差が大きく、このことだけで日常生活が妨げられることがあります。
こだわりと感覚の問題、過集中とも個人差が大きく、人によっては特に問題にはならない場合があります。