不注意があり多動と衝動

ADHDの特性は脳の機能で説明されます。特性とは不注意と多動、衝動であり、脳の機能は実行機能と報酬系です。

実行機能

実行機能とは、課題を達成するために計画を立て、自分の思考、感情、行動をコントロールしながら遂行する能力のことです。

課題は、ふだんの生活での学業や仕事、家事などです。これらの実現には、その人が持つ段取りがあります。その日の段取りはルーティンどおりか、追加や省略、変更はあるのか、または新たに作り上げるのか、こうした作業が計画立案となります。

ふだんの生活の課題は計画にそって行われます。順調に進められることがあっても、何らかの事情が入り込む場合があります。それは情報に左右され気が散ったり、不要な動きをしたり、ときに自らの欲求で動くことかもしれません。

気が散ることが不注意、不要な動きをすることが多動、欲求で動くことが衝動です。不注意、多動、衝動は計画の立案段階でも、生じることになります。

ADHDでは、こうした不注意、多動、衝動のため、実行機能が円滑にはたらきにくい場合が多いと考えられています。

ワーキングメモリーの弱さの問題があります。ワーキングメモリーとは情報を一時的に保ったまま何らかの処理をすることです。ワーキングメモリーは実行機能に関与していると考えられています。

注意の問題に過集中があります。注意のコントルールは容易ではないことが多く、散漫な様子が不注意で、何かに貼りついた状態が過集中です。

この特性は自覚的に用いられると、ハイパフォーマンスが創り出せる優れたものとなります。

報酬系

報酬系とは、人や動物の脳で、欲求が満たされた時、または満たされそうな時に「快の感覚」が得られる神経系のことです。

報酬系の実験によるとADHDでは、時間の経過のあとに得られる大きな報酬より、今、ここで手に入る小さな報酬を選択することが多数であることが、特定の脳部位の反応で判明しました。こうした実験から、衝動が説明されます。不注意と多動は、このようなはたらきに関係するものとして説明されます。