今回のHP再編成での力点はカウンセリングの解説でした。カウンセリングの技法は、日本の臨床心理士養成大学院では、およそどこでも基本の応答技法として学び身につけて心理実習にのぞみます。ところが、とあるカウンセリングルームのHPを拝見すると、臨床心理士自身が心理療法としてのカウンセリングを役に立たないものと記述した箇所が目に止まりました。これまでも心理士以外の人たちが、カウンセリングは役に立たないと断じたり、心理療法そのものを価値下げしたりすることはありました。

こうしたことがあって、今回のHP作成では、みなさまにはカウンセリング本来の魅力を分りやすくお伝えし、筆者自身はカウンセリングそのものを問い直す機会にしたいと考えました。

カウンセリングとは対話であり来られた方とカウンセラーとの信頼形成のいとなみです。信頼の絆ができることで心置きなく内面のふり返りが可能となり、悩みや問題の解決に向けた共同作業が促進されていきます。

現在の心理療法は、大きく精神分析と認知行動療法、人間性心理学の諸学派、家族療法・ブリーフセラピーがあり、それ以外にはEMDRや対人関係療法、日本発祥の内観や森田などがあります。多くの心理療法はそれぞれに、アピールポイントを持っています。オールマイティーに優れ完成された心理療法は、現在の所、どこにも存在しません。

心理療法は、どのような問題や症状の解決が求められているのか、どのような面接の進め方の要望があるのか、特別な現場からの特殊な要請があるのかによって選択されます。つまり心理療法には一長一短と利用目的による向き不向きを持っているということです。互いの長所とそうでない所を認め、補い合うものであると考えています。

このようなことを念頭に置きながら今回の再編成を行いました。